空間をデザインする、という概念は、近代的な考え方で今急速にニーズが高まっています。しかし、そもそも空間のデザインとはなんなのか、はっきり理解していない人も多いのではないでしょうか。デザインというとまず思いつくのは、絵を描いたり、物品に施す装飾のようなイメージが多いと思われます。では、空間をデザインするというのは具体的に何をすることなのでしょうか。ここでは、空間デザイナーの仕事内容などを確認しながら説明していきたいと思います。
インテリアデザイナーと空間デザイナー
空間デザイナーと似たようなイメージを持つ職種として、インテリアデザイナーがあります。仕事内容や活躍する舞台も共通する部分が多く、ホテルのロビーや美術館のエントランスなど、建物の印象をよくするために依頼を受けることが多いです。また、新築物件やリフォームする家など、設計からデザイン、アレンジと幅広く手を施します。
空間デザイナーとインテリアデザイナー、明確な線引きはありませんが、仕事内容に若干の差があります。インテリアデザイナーは、文字通り家具やカーテンなどインテリアを工夫することが主な仕事です。必要であれば家具のデザインや受注を行ない、配置等も工夫してより快適な空間へと創造します。ですので、主な活躍の場は建物の中や敷地内であることが多いです。
一方、空間デザイナーとは、空間であればどこでも仕事ができます。建物のほかにも、イベントブースやアート街などをデザインする仕事が舞い込むこともしばしばあります。インテリアを使ってデザインすることもありますが、時には木や水など自然のものを使用してアレンジを加えるなど、自由度が高いのが特徴です。
自由度が高く内容に具体的な制限がない
空間デザイナーは空間そのものがキャンバスとなっており、空間に置くことができるものは全てデザインとして取り入れることができます。非常に自由度が高く、アート作品としては壮大なものとなるのが醍醐味です。しかし、できることが多い分、それを仕事にするとなると、やることが膨大になってしまいます。
空間デザインの仕事が入ってきた場合、完成までに行なうべき過程がいくつも浮上します。構想、設計、資料集めからのプレゼンに始まり、食器や家具がある場合はそのデザインを自ら行なうのか手配するのか、取り付けなどは自身で行なうのか業者を手配するのか、とにかく仕事に明確なラインがありません。
さらにこういった仕事は契約を結んだ上で入ってくるケースが多いため、一度やりきった仕事は多少無理があっても次もやってくれるというのが先方の認識となり、暗黙の了解になりがちです。そのため、空間デザイナーのワークスケジュールはタイトなものになることが多々あります。
空間デザイナーには独学でなれるのか
空間デザインの学校などを出ず、独学で空間デザイナーになるのは非常に困難です。空間デザイナーになりたいとなった場合、主な就職先はデザイン事務所です。デザイン事務所の採用条件のほとんどは、未経験者不可です。アルバイトなどで稀に入れることもありますが、デザイン業務に携われる人はまずいないでしょう。
空間デザイナーはデザインのセンスに加え、基礎知識なども必要とされる職種です。これらを独学で全て学びきるのはまず不可能です。空間デザイナーを目指すならば、まずは専門学校や講習などを受けて知識を得ることが不可欠です。基礎知識を習得し、デザインの仕事をもらえるようになったらあとはセンスを磨くのみです。認められるまでは辛い道のりかもしれませんが、信頼してもらえるようになれば独立して自分の事務所を構えることも可能です。
今はネットで拡散されることでダイレクトに世間の反響を呼ぶことができる時代です。その中で、空間デザイナーという職は今後も注目を集め続けることが期待できます。デザインが好き、部屋の模様替えやコーディネートが好きという人にとっては、自分の趣味を活用できるチャンスに満ちた職業と言えるでしょう。