空間演出デザインとは？空間デザインとの違いと学べることをご紹介！
商業施設や宿泊施設を魅力的な空間にプロデュースする「空間デザイン」。優れた空間デザインは、集客力を高める・売上がアップする・労働者の意欲が向上するなどのポジティブ効果が期待できます。今回はそんな注目度が高まる空間デザインに「演出」の二文字を加えた「空間演出デザイン」について、ご紹介いたします。
空間演出デザインとは
空間演出デザインとは、デザイン学校で主に用いられる、比較的新しく生まれた言葉です。多くは学科の名称として用いられています。言葉の定義は明確ではなく、学校によって「空間演出デザイン」の意味合いに違いがあります。ですが、音響や照明効果、香りといった人間の五感に訴えかける表現を融合させて、空間をより立体的にコーディネートすることを目的としているという共通点があります。
具体的には、家具・インテリア・舞台美術・ディスプレイ・建築・環境科学・ファッション・伝統文化・宝石・植物・雑貨といったさまざまな演出オブジェクトを、目的に合わせて素材や見せ方を吟味し、音や光でコーディネートすることで、ビジュアルをはじめとする感覚を刺激するような空間の設計が目的です。
有名な空間演出デザインの例を挙げると、福島県会津若松市の鶴ヶ城で行われるプロジェクションマッピングと音声によるデジタルアートを盛り込んだ歴史ガイドや、あふれんばかりの光と音楽と踊りとともに繰り広げられるディズニーランドのエレクトリカルパレードなどが該当します。
いずれも、見る者の意識をたった一瞬で幻想的な「非日常」へといざなうパワーにあふれています。高度に演出された空間には、それほど強力な魅力があり、求心力・集客力があります。
さらに、空間演出デザインは、人間・時間・地域性・距離感・ブランド・生活・色彩といった個性をコンセプトに加えることで、実現したい空間をさらに高解像度で表現できる可能性も持ちあわせています。
空間デザインとの違い
空間デザインと空間演出デザインとの違いは、視覚のみに訴えるデザインか否かです。空間デザインは、名前の通り空間をデザインすることを意味しています。インテリアの選択やレイアウト、照明の種類や配置、壁紙や床などの色彩をコントロールすることで、空間の魅力を向上させることが目的です。
そのため、空間演出デザインも空間デザインの一領域ととらえられます。空間デザインの代表例として、オフィスやホテル、商業施設が挙げられます。ラグジュアリーな空間、レトロモダンな空間、機能性を突き詰めたスタイリッシュな空間というように、テーマに合わせた「場づくり」こそが空間デザインの役割です。
一方、空間演出デザインはその場にいる人の視覚だけではなく、聴覚や嗅覚までをも意図した方向へ向かわせる強いエンターテインメント性を持っているのが特徴です。そのため、娯楽性の高いイベントとの相性がとてもよいデザインといえるでしょう。
空間演出デザインコースで学べること
空間演出デザインコースでは、建築や環境科学などの空間デザインの基礎、ディスプレイや場づくりといった演出方法をメインに学べます。
学校によって力を入れる演出方法が異なりますが、照明や家具、ファッション、インテリアのプロダクトといったオブジェクトの扱い方に加え、ブランディングやプロジェクト進行といったデザイナースキルについても学べます。学校によっては、空間演出デザインの役割を、既に存在するものを組み合わせる「コーディネーター」「デザイナー」の範疇を超え、ないものを新たに作り出す「クリエイター」「アーティスト」にまで拡大しているところもあります。
空間演出に必要な大道具/小道具を一から模型で制作できるスキルや、ウォールデコレーションのためのペイントスキルを養うことのできる講座を学べる学校もあるので、オリジナリティの高い演出を心掛けたい人は、クリエイター養成に注力する学校を選ぶとよいでしょう。
まとめ
空間演出デザインについて、空間デザインとの違いをご紹介しました。視覚に訴える「静」の空間デザインに対して、空間演出デザインは光や音響・動きといった要素を取り入れることで、視覚・聴覚・触覚・嗅覚など人間の五感に訴えかける「動」のデザインです。イベントの空間コーディネートと相性が高く、強い集客性が期待できます。空間演出デザインコースでは、建築・環境など空間デザインの基礎や、ディスプレイや場づくりといった演出方法、照明や家具、ファッションなどオブジェクトの扱い、ブランディングやプロジェクト進行といったデザイナースキルなどが学べます。
