
街や建物を使う人は、若い人だけではありません。高齢者、体に障がいのある人、小さな子ども、けがをしている人など、さまざまな人が同じ空間を利用します。そうした多様な人たちが安心して使えるように考えられたのが、ユニバーサルデザインです。本記事では、その基本と空間の作り方を、わかりやすく紹介します。
ユニバーサルデザインとは?
ユニバーサルデザインとは、年齢や身体の違いに関係なく、できるだけ多くの人が使いやすいように、最初から配慮してつくられる設計の考え方です。特別な人のためではなく、すべての人にとって使いやすいことを目指しています。
バリアフリーとの違い
似た言葉に「バリアフリー」があります。バリアフリーは、すでにある段差や不便な部分をあとから取り除く考え方です。一方、ユニバーサルデザインは、はじめから段差をつくらない、使いにくさを生まないように設計する点が大きな違いです。
あとから直すのではなく、最初の段階で配慮するという考え方です。
だれでも使いやすい空間とは
だれでも使いやすい空間とは、無理なく移動でき、迷わず行動できる場所のことです。強い力を使わなくてもドアが開き、文字が読みやすく、目的地までの道順が分かりやすいなどの工夫が自然に取り入れられている空間です。
空間デザインに活かす7つの原則
ユニバーサルデザインを空間のなかで実現するためには、7つの基本的な原則があります。これらは、だれにとってもやさしく、安心して利用できる空間を考えるための大切な指針です。
公平に使えること
すべての人が同じように利用できることが基本です。たとえば自動ドアは、車いすを利用する人も歩いている人も、同じ入口からスムーズに出入りできます。特定の人だけが別の入口を使うのではなく、だれもが自然に使えることが大切です。
柔軟に使えること
ひとつの使い方に限定せず、いくつかの方法を選べることも重要です。たとえば、立っても座っても使える高さのカウンターは、さまざまな人の使い方に対応できます。
分かりやすいこと
初めて訪れた人でも迷わないように、案内表示は見やすく理解しやすい工夫が必要です。文字や色だけでなく、絵やピクトグラムを活用すると、より直感的に情報を伝えることができます。
情報が伝わりやすいこと
情報はひとつの方法だけでなく、複数の手段で伝えることが望まれます。音声案内、光による表示、触って分かるサインなど、さまざまな方法を組み合わせると、多くの人にとって利用しやすい空間になります。
安全であること
万が一の操作ミスや不注意があっても、大きな事故につながらない設計が求められます。転倒しにくい床材や角を丸くした家具などの工夫がその一例です。
身体的負担が少ないこと
強い力を使わなくても利用できる設計にするなら、体への負担を軽減できます。軽い力で開くドアや押しやすいボタンなどがその例です。
充分な空間があること
車いすでも無理なく通れる幅やすれ違えるスペースを確保することが重要です。体格や身体の状況にかかわらず、安心して移動できるゆとりのある空間づくりが求められます。
身近な事例で学ぶユニバーサルデザインの空間づくり
ユニバーサルデザインは、特別な場所だけにあるものではありません。実は、身近な街のなかにも数多く取り入れられています。日常の風景から、その工夫を見ていきましょう。
段差のない入口とスロープ
建物や駅、公園の入口に段差をなくし、ゆるやかなスロープを設けると、車椅子利用者だけでなく、ベビーカーや荷物をもつ人、高齢者も移動しやすくなります。段差解消が特別な設備ではなく、自然な動線の一部となっていることが大切です。
充分な通路幅と回転スペース
広い改札通路や多目的トイレの回転スペースは、車椅子やベビーカー、大きな荷物をもつ人にも使いやすい設計です。ゆとりのある空間が安全な移動を支えます。
公共空間の休憩スペース
広場や商店街に設けられたベンチや休憩場所は、だれもが安心して利用できる工夫です。疲れたときにすぐ休める環境は、身体的負担の軽減につながります。
まとめ
ユニバーサルデザインは、年齢や体の違いに関わらず、できるだけ多くの人が安心して使える空間を、はじめから考えてつくる方法です。あとから不便を直すのではなく、最初の計画の段階で「だれにとっても使いやすいか」を考えることが大切です。段差をなくす、分かりやすい表示にする、体に負担の少ない設備を選ぶといった工夫は、小さなことのようでいて、多くの人の安心につながります。こうした積み重ねが、やさしい街や建物をつくります。空間デザイン学校で学ぶときも、形や色だけでなく使う人の立場で考える力を身につけましょう。
東京デザインプレックス研究所
ICSカレッジオブアーツ
青山製図専門学校
桑沢デザイン研究所
東京デザイナー・アカデミー(旧 東京デザイナー学院)




