最近では、レストランやアパレル店舗、住宅、オフィスなどのさまざまな建築物において空間デザインの効果が注目されています。今回は、建築における空間デザインの重要性やデザインにおいて考慮すべきポイント、建築との相互関係について詳しく解説します。これから店舗やオフィスなどをつくる予定がある人は、ぜひ参考にしてください。
建築における空間デザインの役割とは?
空間デザインと聞くとインテリアコーディネートのようなイメージを持つ人が多いですが、本来空間デザインとは、インテリアはもちろん建物設計や室内設計、家具や照明の種類、グリーンの配置、さらには建物の外回りの空間づくりなどのさまざまな要素が組み合わさったトータルデザインを指すものです。
空間デザインは個人の住宅だけでなく、レストランやカフェなどの店舗、ショッピングモール、ホテル、クリニック、教育施設、オフィス、公共施設のように、多様な建築物において重視されています。
空間デザインの役割は、空間をおしゃれで洗練された雰囲気に仕上げることだけではありません。建物がある都市やエリアを象徴していたり、誰でも過ごしやすいユニバーサルデザインを採用したりなど、空間デザインによる付加価値をつけることで建物の価値そのものを上げているといえるでしょう。
空間デザインにおける建築の重要な要素と考慮すべきポイント
空間デザインが建築物において重要となるのは、建物の中で過ごす人たちにさまざまな効果を与えるためです。
たとえばオフィスの空間デザインにおいて、多くの人が「オフィス」と聞いてイメージするような事務的な部屋ではなく、暖色の家具や柔らかい雰囲気を取り入れた明るい空間を生み出すことで、スタッフの発想力・創造力が高まる効果を期待できます。さらに、スタッフ間でのコミュニケーションが円滑となり、風通しのよい職場の実現にもつながるでしょう。
そのほかにも、落ち着いた雰囲気の中でリラックスして過ごしてほしい場合にはウッド調や観葉植物などのグリーンを、かわいらしいポップな雰囲気の中で非日常感を味わってほしい場合にはピンクや赤を使ったキュートなデザインを取り入れるなど、建物の用途や使用する人にどう過ごしてほしいかを考慮して空間デザインを演出することが重要です。
建築と空間デザインの相互関係による魅力的な空間の創造方法
先述の通り、空間デザインとは建築物の内部・外部に関わらず、対象となる空間をデザインすることを指します。
一方で、建築物そのもののデザインは、建築家による設計から生み出されるものです。両者は一見似ているようにも思えますが、空間デザイナーによる空間の演出と、建築家による設計とでは大きく異なります。マイホームや店舗、レストランなどにおいて、お客さんのニーズを反映した理想の建物をつくるには、建築と空間デザインの相互関係が重要です。設計だけが優れていても空間そのものの雰囲気が適していなければ、建物を利用する人にデザインによる効果や影響を与えることはできません。
また、空間デザインに力を入れていて設計が雑であると、空間の持つ魅力や演出の効果を半減させてしまうでしょう。建築と空間デザインとを相互にうまく作用させてそれぞれの魅力を最大限に引き出すには、建築家と空間デザイナーの双方がお客さんのニーズを正しく把握して設計・デザインの擦り合わせを行うことが重要です。
まとめ
今回は、建築における空間デザインの役割や考慮すべきポイント、魅力的な空間の創造方法などを詳しく解説しました。空間デザインは、室内に限らず室外も含んだ空間そのものをデザインすることを指します。空間デザインで重要となるのは、ただおしゃれで洗練された雰囲気を演出することではありません。
「スタッフがリラックスして業務に取り組めるオフィスにしたい」「さりげないキュートさを取り入れた空間でカフェスイーツを楽しんでほしい」など、建物の利用用途や中で過ごす人に与えたい影響などから逆算してデザインを決定することが重要です。また、建築物そのものの設計・デザインと空間デザインとをリンクさせれば、相互関係によってさらにそれぞれの魅力を引き出せます。