店舗をはじめとした商業施設や個人の住宅まであらゆる空間を依頼者の求めるイメージに沿ってデザインする空間デザイナーですが、「具体的にどんな仕事を普段行っていて、どうすれば空間デザイナーとして働けるのか」がわからない人も多いのではないでしょうか。この記事では、空間デザイナーの働き方から役立つ資格まで詳しく解説していきます。
空間デザイナーの働き方の種類
空間デザイナーの仕事は簡単にいえば、顧客の要望を目に見える形として空間作りをしていく仕事です。空間デザイナーは「企業に就職して働く場合」と「フリーランスとして働く場合」の2種類に分かれていて、それぞれメリットが異なります。
企業に就職して働いた場合、専門性に優れた上司からデザインセンスの共有や仕事のアドバイスを受けることができるため成長を早めることができます。一方で、フリーランスの空間デザイナーの魅力は担当した案件の収入が直接年収となる点や、自分のこだわりや技術を企業に合わせることなく自由に発揮できることです。
フリーランスで活躍している多くのデザイナーは、最初は企業に就職しセンスと技術を磨いたのちに独立するというケースが多いです。どちらを選択した場合も顧客から依頼を受けてからの働き方は以下のような流れになります。
■依頼を受けたらヒアリングを行う
企業に属している場合は空間デザインを専門にしている会社に直接依頼が来るか、請負として依頼されます。フリーランスとして働いている場合はサイトやSNSを通じて顧客から依頼されるケースが一般的です。
いずれの場合もヒアリングを通して、顧客のイメージする理想のデザインを最大限に空間表現できるよう、顧客の生活・趣味・家族構成などの特徴を聞き出します。
■イメージをデザインに書き起こし、見積もりを出す
ヒアリングを元に、空間完成時のイメージモデルをPhotoshopなどのオンラインツールやCGを使ってデザイン模型を作ります。実際に空間を視覚化して顧客に提示し、納得してもらった後に見積もりを出して実際の施工に移ります。
■使用する物の手配現場管理を行う
空間に欠かせないアイテムの手配を行うのも空間デザイナーの仕事です。施工を行う職人たちに細かな指示を出しながらイメージ図と完成時の差が生まれないように注意を払います。
また、デザイン専門の企業やフリーランスの場合は、施工自体は行えないため、施工業者もこの時に選定を行い、イメージを忠実に再現してくれる職人に依頼をします。
■受け渡しとアフターケア
施工が完了したら顧客に確認してもらい、不備がなければ無事明け渡しが完了します。万が一生活の中で起きた不具合に対応できるように無料補修作業や保険案内などアフターケアを行います。
空間デザイナーになる方法
空間デザイナーになるには、デザインを学ぶ専門学校に通うか独学で勉強し、資格取得を目指すかの2つの方法が一般的です。就職先と専門学校が協力している場合が多いため、未経験の場合は専門学校に通うことを強くおすすめします。
■専門学校に通う
未経験者の方は、デザインのノウハウを学ぶために美術系の専門学校に通うことをおすすめします。美術学校は空間デザインのコースが揃っていて就職先も紹介してくれることがメリットです。
■独学で資格取得を目指す
「専門学校に通いたいけれど、充分な資金がない」などが理由で学校に通うことが困難な場合は独学で勉強し資格試験を受けることを目標にしましょう。しかし、どの資格取得へ向けた勉強にもいえることですが、孤独な勉強に耐えて幅広い分野の知識を身につけることは簡単なことではありません。スケジュール管理や自己管理を心がけることが大切です。
空間デザイナーとして働く上で持っていると役立つ資格
まず、前提として空間デザイナーになるために「必須の」資格はとくにありません。しかし、持っていることで就職や依頼にアドバンテージとなる資格はいくつかあります。
■空間ディスプレイデザイナー
空間ディスプレイデザイナーは日本デザインプランナーが主催する資格です。陳列の知識や空間の中のアイテムの配色・照明などの知識を問われます。
■インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターはお客様の要望に答えて適切な提案やアドバイスができるための商品知識が必要とされます。「障害・身体能力低下を考慮したバリアフリー住宅のインテリア」など、住まい手のキャラクターやニーズを想像し空間の設計図を組み立てられることが問われます。合格率は20%前後と難易度は高いですが資格を取得すると仕事の獲得に非常に有利に働きます。
空間デザイナーはお客様が思い描いている住宅や商業施設・店舗を目に見える形に0から作り上げていくとても魅力のある仕事です。特別必須の資格スキルはありませんが、専門学校や独学で基礎知識を学び資格を取得することで就職や仕事上のアドバンテージにつながります。専門学校はそれぞれの学校で特徴があるため、空間デザイナーを学びたいと考える方は資料などを参考に、学校比較を行い自分と相性のよい学校を選びましょう。