一言でデザイン業といってもさまざまな種類があるため、どの分野のデザイン職を目指せばいいのか悩んでしまう人もいることでしょう。そこで本記事では、空間デザインの分野について解説し、共通点のあるデザイン業の建築デザイン・インテリアデザインと徹底比較します。デザインに関する仕事に興味がある人は、ぜひ参考にしてみてください。
空間デザインとはどんな分野?
空間デザインとは、建物の内外を問わず、さまざまな空間を目的に応じてデザイン・演出する専門的な分野です。対象となる空間は、商業施設、オフィス、住宅など多岐にわたり、規模や用途を問わず幅広い分野に対応している点が特徴にあります。
この分野では、単に空間の見た目を美しく整えるだけでなく、利用者にとっての使いやすさや快適性といった実用的な側面も重視されます。たとえば、店舗設計においては、来店者の動きやすさを考慮した動線の確保や、商品がより魅力的に見えるような配置が求められやすいです。
また、オフィス空間であれば、社員同士のコミュニケーションが円滑に行われるようなレイアウトや配置の工夫が必要とされます。
このように、空間デザインは利用者の行動や心理に配慮し、目的に応じて機能性と美的要素を両立させる設計を行うことが求められる分野です。単なる装飾ではなく、空間の価値を高める重要な役割を担っています。
空間デザインと建築デザインの具体的な違い
空間デザインと建築デザインは、いずれも空間に関わる設計分野ですが、その役割や対象範囲には明確な違いがあります。建築デザインは主に建物そのものの形状や構造、外観といった基本的な設計を担う分野です。
建物の安全性や機能性、法規制への適合など、技術的・構造的な要素を重視します。いわば「箱」を設計する仕事と言えるでしょう。
一方、空間デザインは、その建物という「箱」が完成した後に、その内部や外部空間をより魅力的かつ快適に演出することを目的とする分野です。具体的には、インテリアの配置や色彩、照明計画などを通じて、利用者の動線や心理的な効果に配慮した空間づくりを行います。
建築デザインが構造や耐久性などのハード面に注力するのに対し、空間デザインは体験や感性といったソフト面を重視すると言えるでしょう。このように、両者は密接に関連しながらも、それぞれ異なる視点と目的をもって空間にアプローチする分野です。
空間デザインとインテリアデザインの違い
インテリアデザインと空間デザインも、共に建物内部の快適さや美しさを追求する分野でありながら、その役割や範囲には明確な違いがあります。インテリアデザインは主に室内空間における装飾や家具の配置、色彩、照明などの要素を扱う専門分野であり、居住者や利用者にとって居心地の良い空間をつくり上げることを目的としています。
一方、空間デザインはより広い視点から、建物内部だけでなく外部も含めた空間全体の演出を担う分野です。そのため、空間デザインはインテリアデザインを内包する上位の概念といえるでしょう。
両者の関係は補完的であり、たとえば空間デザイナーが空間全体のコンセプトや方向性を決定し、その枠組みに沿ってインテリアデザイナーが具体的な室内装飾や家具の選定を行うという連携が一般的です。このように、両者が緊密に協力することで、見た目の美しさと使いやすさが両立した、より魅力的で機能的な空間が実現されます。
デザイン性と実用性を高次元で融合させるために、インテリアデザインと空間デザインの協働は極めて重要な役割を果たしているのです。
まとめ
空間デザインは、建築デザインやインテリアデザインと密接に関わりながらも、それぞれ異なる視点と役割を持つ独自の分野です。建築デザインが建物そのものの構造を、インテリアデザインが室内の装飾を担うのに対し、空間デザインは空間全体の目的や使用者の体験に基づいて、内外問わず機能性と美しさを両立させる総合的な設計を行います。異なる分野が連携し補完し合うことで、より魅力的で快適な空間が実現されるのです。デザイン業界に関心のある人にとって、自分の興味や適性に応じて進むべき道を見極めるうえで、各分野の違いを理解することは非常に有益でしょう。