日本空間デザイン賞は多くある空間デザインの功績を表彰し、その価値を世界に知らせるために2019年より創設されたデザインアワードです。このアワードのカテゴリーは大きく3つにわかれていて、AからCのグループが用意されています。ここでは、各グループで表彰されている空間デザインについて紹介していきたいと思います。
プロモーションやショーウィンドウの空間を表現するAグループ
Aグループの「01.エキシビション、プロモーション空間」では、博覧会や展示会、見本市などのプロモーション展開やショールーム・イベントなどの空間デザインが表彰されています。中には東京にある水族館の空間デザインがあり、無機質な構造物と生き物を融合させた点が評価されています。
次に「02.ショーウィンドウ&ビジュアルデザイン空間」は、ショーウィンドウや各種ディスプレイ、POP・サインなどのデザインです。芸術性の高いショーウィンドウなどが多く表彰されています。
最後に「03.エンターテインメント&クリエイティブ・アート空間」では、映像や光を使った空間コミュニケーションやインタラクティブアート・オブジェ・舞台の演出など多岐に渡ります。ビルの屋上に設置された展望台では風景を活かしたデザインとなっていて、ただ景色を楽しめるだけでなく、夜になると複数のサーチライトで夜空を照らすなどの工夫がなされています。
ファッションや食、大規模な商業空間を創るBグループ
Bグループの「04.ショップ空間」では、物販店やファッション、食品のお店などのデザインが表彰されています。生産者と消費者の交流を促す場を創り出す東京の商業施設などが表彰されています。
続いて「05.食空間」はレストランやカフェ、フードコートなどの設計です。緑あふれる店舗で癒しを演出するような東京にあるレストランのデザインが評価されています。
次に「06.大規模商業空間(又は、複合施設空間)」においては、ショッピングセンターや百貨店、テーマパークなどのデザインが賞されています。階段を巧みに使って先進的かつ刺激的な立体表現を実現している商業施設や、古い社屋を耐震改修して古都の歴史を継承している設計などがあります。
最後に「07.サービス・ホスピタリティー空間」は、ホテルや旅館、ウェディング施設に美容室など、多様な施設のデザインが評価されています。昔からある銭湯をモチーフにして近代的で美しく仕上げられたデザインがあります。
博物館や公共施設、住宅の空間をデザインするCグループ
Cグループの「08.博物館・文化空間」では、博物館や美術館、街づくりなどの文化交流がなされる場所などのデザインが表彰されています。極細のLEDを用いて文字やピクトグラムを浮き上がらせたサインシステムを採用した東京にある美術館など、ハイテクを活かした設計もあります。
次に「09.公共生活・コミュニケーション空間」では、スポーツ施設や病院、学校・工場・寺院などのデザインが賞されています。中には、史跡を新しい方法で整備・活用し、構造や建設の構法を巧みに用いている設計があります。
また「10.オフィス空間」は、オフィスやワークスペース、スタジオ・会議室などのデザインです。間仕切りを最小限にして広さを感じられるスペースを作り、人々が場所に縛られず自由に移動し、チームの一体感も得られるようなオフィスのデザインが高く評価されています。
最後に「11.住空間」は、個人の住宅や集合住宅、それらのモデルルームなどのデザインです。学生が交流しやすい先進的な設計の学生寮が評されています。
複雑化が進む今日の社会において、人々は物理的な豊かさから精神的な豊かさを求めつつあります。日本空間デザイン賞に選ばれている優れた空間デザインを知れば、多くの刺激を受けられるだけでなく、次の時代に何を創造すればよいのかを考える機会となるでしょう。