CGデザイナーは、映像やゲームの世界だけではなく、空間デザインの分野でも活躍の場があります。建築やインテリアの完成イメージを3Dで再現することで、企画段階からクライアントとのイメージ共有がスムーズになり、説得力のある提案が可能になります。今回は、CGデザイナーの仕事内容や将来性などを解説します。
CGデザイナーとは
CGデザイナーとは、コンピューターグラフィックス(CG)を用いて、2Dまたは3Dのビジュアルを制作する職業です。別名「CGクリエイター」や「CGアーティスト」とも呼ばれ、ゲーム、映画、アニメ、VR、広告、建築、製品設計など、さまざまな分野で活躍しています。とくに近年では、3DCG技術の進化と普及により、エンタメ業界だけではなく、建築や工業設計、教育、医療といった分野にまで応用が広がっています。
たとえば、建築パースやインテリアのシミュレーションなど、空間デザインにもCG技術は欠かせない存在になりつつあります。需要の高まりとともに、CGデザイナーの職域も拡大しており、就職先や働き方の選択肢も多様化しています。
働き方・年収の目安
CGデザイナーは、制作会社や映像制作会社などで正社員、契約社員、派遣、アルバイトとして働く場合が多いですが、フリーランスとしてプロジェクトベースで働く人も増えています。勤務時間は平日8時間が基本ですが、納期やプロジェクト状況によっては夜間や週末の作業が発生することもあります。フレックスタイム制を採用する企業も多く、柔軟な働き方が可能です。年収の相場は300〜500万円程度ですが、大手ゲーム会社や映像制作会社では500万円以上になることも。フリーランスで成功すれば、年収1,000万円を超えるケースもあります。
CGデザイナーの仕事は幅が広い
CGデザイナーの業務は多岐にわたりますが、基本的にはコンピューターを使って2Dや3Dのビジュアルを制作する仕事です。とくに3DCGの多くは、キャラクターや背景、アイテムなどを立体的にモデリングするモデラー、PhotoshopやSubstance Painterを使用し、質感や色合いを表現するテクスチャアーティスト、キャラクターやオブジェクトに動きをつけ、リアリティや演出を加えるアニメーターの3つに分かれます。
また、近年のアニメーション制作では「セルルック」と呼ばれる手法で、2Dアニメのように見せる3DCGの技術も注目を集めています。これにより、アニメやゲームといった分野に加え、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)といった新しいメディアでもCGの活用が進んでいます。映像制作の分野では、プリプロダクション(プリプロ)、プロダクション、ポストプロダクション(ポスプロ)で活躍できるでしょう。
さらに、空間デザインの分野においても、建築のCGパース制作、インテリアのレイアウトシミュレーション、都市開発の可視化プロジェクトなど、CGデザイナーの技術が必要とされています。CGデザイナーとしての知識をもち、実績を積むことで、将来性は高いといえるでしょう。
CGデザイナーになるには
CGデザイナーになるために必須の資格や学歴はありませんが、即戦力として求められることが多いため、スキル習得は欠かせません。ここでは、CGデザイナーになるために必要なスキルや資格などを解説します。
CGデザイナーになる方法
おもな道は、専門スクールに通う方法、独学で学ぶ方法、異業種から転職してアシスタントからスタートする方法もあります。画像編集ソフトが使えれば、未経験であっても補助的な業務から始められる場合もあるようです。専門スクールに通う場合、年間90万円〜140万円程度が相場です。ソフトの月額利用料やPC、周辺機器の費用も含めると、初期投資はある程度必要です。書籍やオンライン講座を併用すればコストを抑えることも可能です。
CGデザイナーに求められる資格やスキル
CGデザイナーは用途に応じてさまざまなツールを使用しなければなりません。代表的なものとして3DCGソフトのMaya、3ds Max、ZBrush、Houdini、2DデザインソフトのPhotoshop、Illustratorなどが挙げられます。このように、使用するソフトウェアや機材が非常に多いため、つねに学び続ける姿勢が求められます。また、必須ではありませんが、CGクリエイター検定、画像処理エンジニア検定、Adobe認定アソシエイト、色彩検定といった資格をもっていると就職の際に有利になるでしょう。
まとめ
CGデザイナーは今や映像業界にとどまらず、建築、製造、教育、医療など、幅広い分野で必要とされる存在です。とくに空間デザインの現場では、リアルなビジュアル提案や没入型コンテンツ制作において、CG技術は不可欠です。未経験からでも挑戦可能ですが、実力主義の世界であるため、スキルやポートフォリオの充実がカギになります。「好き」という気持ちを原動力に、作品づくりに情熱を注ぎ続けられる人にとって、CGデザイナーはやりがいのある職業です。