従来の建設業は老朽化や災害などに耐えうる耐久性が重視されてきましたが、近年の建設業の新しい形として生活動線を含めた内装も重視する流れになっています。そんな内装の質を向上させるために、建設業で重宝されているのが空間デザイナーという仕事です。
最適な内装を作り上げるのが空間デザイナーです
空間デザイナーとは、建物を建設するときに利用する人が過ごしやすいように正確な空間デザインを構築する仕事のことです。これまでの住宅は、先にいったとおりに内装よりも建物の耐久性など外装の品質重視で考えられています。
もちろん重要なことに変わりないのですが、ただ内部の設計図については家の外観を決めた後に計画する流れです。しかし家の外観を決めてから作る場合だと、場所によって柱や段差そして部屋の位置などが細かく決められなくなることを意味します。
忘れてはいけないのは、住宅は何度も建て替えるということはせずに、一度建てたらよほどの余裕がない限りはそのままの状態で住むことになるのです。建物内部にある柱や段差そして部屋の位置を住宅の外観を決めた後に設定してしまうと、実際に住んでみて初めて障害物になる場合が多いのです。
体が健康なうちは多少の影響があっても大丈夫かもしれませんが、もし何らかの病気やけがで体がうまく動かせない状態になったときや体が衰え始めたときに障害の影響が顕著に表れ始めます。それでは建物が居心地の悪いものになってしまうため、それを未然に防ぐのが設計の段階からインテリアとエクステリアの設計に関与して過ごしやすい環境を作る空間デザイナーの仕事です。
空間デザイナーになるためには専門学校に通います
建設業界で重宝され始めている空間デザイナーになるためには、いろいろな資格を有しておくとよいです。空間デザイナーと呼ばれる資格はなく、あくまで建設関連の学校において新しい履修項目になっているだけになります。そのため空間デザイナーになるためには、高校を卒業後に空間デザイナーの履修科目のある大学もしくは専門学校に通って知識を有するだけでよいです。
ただ知識を有しただけでは建設業界で採用される確率は低いので、空間デザイナー部門に採用されやすいように資格を有する必要があります。その有しておくとよい資格としては、福祉住環境コーディネーターとCADそして空間ディスプレイデザイナーです。
福祉住環境コーディネーターは、これから高齢化社会を迎えるうえで衰えた体でも安心して過ごせるように住環境や設備の導入をどのような方向で進めればよいのかアドバイスをする仕事です。
そしてCADは専用のソフトをパソコンにダウンロードし、画面上で立体的に建造物だけでなく車などの造形設計に用いられる資格です。
そして空間ディスプレイデザイナーは、これはインテリアコーディネーターの一つで第3者から見たときに陳列された商品が高品質に見えるように設計し組み立てる資格になります。CADは国家資格でそのほかは民間資格になりますが、この3つの内のどれかを取得しておけば建設業界もしくはデザイン事務所で採用されやすくなるのです。
建設業の専門部署もしくはデザイン事務所で採用され、その後3年の実務経験を経て初めて空間デザイナーの仕事を任されるようになります。
デザイナーの視点から新しい答えを生み出します
建設業界で重宝されるようになったのは、何度もいうように生活動線の重要性が再認識されているからです。生活動線というのは、部屋の間取りをスムーズにすることで炊事洗濯が壁や柱に邪魔をされずに行えるスペースになります。これまでは外観を決めてから内装を決める形だったので、空間のスペースまでは考慮に入れていなかったのです。
そこで空間デザイナーを採用し設計に携われるようになれば、柱や壁そして間取りの位置が建てられた後に邪魔になることがないので過ごしやすい環境を作ることに役立ちます。将来性としては、住宅の最新設備の知識も必要になってくるので建設業にとって欠かせない人材になると考えられるのです。
建物自体の品質や外観を見て決めること自体は悪くないのですが、ただ実際に住んでみると印象と違うことに悩む人は意外に多いです。それは外観のよさだけを考えてしまい、実際の内装の質までは考えに至らないためです。
ただ内装の部分は建設業界の設計担当でも考えに至らないというのも事実なので、そのままでは建物自体の品質を疑われてしまい信頼問題に発展してしまいます。空間デザイナーを雇うことで内装部分も丁寧に作ることができれば、それは顧客との信頼関係につながり建設業界の発展につながるのです。